在京盛岡広域産業人会役員現地視察会の報告

2010年7月 在京盛岡広域産業人会会長 澤藤隆一




 私たちのふるさと、盛岡広域8市町村:盛岡市、八幡平市、雫石町、葛巻町、岩手町、滝沢村、紫波町、矢巾町は、2009年11月11日在京盛岡広域産業人会を設立し、会員相互の親睦と郷土の産業振興に寄与することを目的に、現在首都圏を中心に約150人の会員が入会しています。この在京盛岡広域産業人会の会員が、まずは現地視察をすべきだとの趣旨で、7月2日(金)、3日(土)の2日間、北部地区視察会を行いました。

       2010年10月の会員現地視察会(南部4町村)の模様は → コチラをご覧下さい




役員現地視察会を報じる岩手日報の記事

実施日:2010年7月2日(金)〜3日(土)








今回は盛岡広域北部4市町を回りました
盛岡市、岩手町、葛巻町、八幡平市の順で
宿泊は八幡平市の松川温泉松川荘でした

盛岡広域8市町村の中で、の無いのは
葛巻町だけです。


注)記事中には会員が約140人となっておりますが、
 現在は150名ほど。写真右端は東光舎の浜田 修部長

 7月2日(金) 1日目
 盛岡市のマリオス前に集合、20Fの展望台(入場無料のお勧めスポット)でマリオスを運営する叶キ岡地域交流センターの川股精裕専務のご挨拶を頂き、佐藤昌彦常務や吉田與志男営業部長、佐藤 敏総務部長にお出迎え頂きました。見晴らしは最高で、東京と違って山の稜線がくっきりと見え、こういうところにテナントとして入る会社の社員は、モニターで疲れた目を窓から遠景を眺めることで癒せるだろうな、と思いました。

 ■アイシン・コムクルーズ様訪問
 続いて14Fのアイシン・コムクルーズ盛岡開発センターを訪問、業務中にもかかわらず鎌田光晴常務・センター長様他の方に事務所を案内頂きました。ここには「ETロボコン専用テストコース」が設置されており、一般開放しているとのこと、こういうところに売上げ2兆円を超える「世界のアイシン・グループ」の余裕を感じました。更にビデオで業務案内を頂き、続いてQ&Aを行いました。現在、自動車1台当たりのECU(電子制御ユニット)は、数十個から百個近く搭載されています。このECUに組み込まれ、エンジンやブレーキ、カーナビなどを制御しているのが「組込みソフトウェア」です。 最近では車載ネットワーク(CANプロトコル)を介して、複数のECUが連携・協調制御を行うようになり、ソフトウェアの機能・構成は大規模・複雑化しています。盛岡開発センターが担当する分野の一部である駐車運転支援システムでは、超音波センサーやカメラの画像認識により駐車スペースを検出し、自動的にハンドル操作を行うことで駐車スペースまでの運転を支援する “インテリジェントパーキングアシスト”の開発の模様を説明して頂きました。

マリオス20F展望台から見た岩手山 アイシン・コムクルーズ社内のETロボコンテストコース

 アイシン・コムクルーズ鰍フ開発センターは日本の中央の愛知県刈谷市、北東の岩手県盛岡市、西の福岡県福岡市(博多駅前)、研究所が北九州市学術研究都市にあります。トヨタ系であれば、中京地区が当然ですが、この一帯はもはや情報通信技術者が採用し難く、これは東京や大阪でも同じ、情報通信系の高度な教育機関があって、優秀な技術者が採用し易いところに立地したとのこと。

 岩手大学地域連携推進センター・盛岡市連携研究センター訪問

 岩手大学・盛岡市連携研究センターにおきましては、岩手大学地域連携推進センター小野寺純治教授・副センター長、岩渕 明地域連携・国際連携担当理事・副学長、今井 潤准教授、盛岡市商工観光部大志田部長、盛岡市・及川 隆共同研究員に迎えて頂きました。センター内にある高価な装置を見せていただいたり、MIU Cafeの説明も受けました。盛岡市のプレゼンテーションや岩手大学地域連携推進センターの説明もプロジェクタ画面を使って説明して頂きました。

 
盛岡市地域連携研究センターで潟Aイカムスラボの説明 この日は午後「地元就職応援!地域企業セミナー」開催

 7月2日(金)、3日(土)の役員現地視察会におきましては、初日八幡平市、2日目盛岡市にバスを提供頂きました。

 
八幡平市のグリーンのバスで葛巻高原牧場視察 盛岡市のバスは新車、道の駅石神の丘(岩手町)で

 ■戸田久・久太屋(盛岡市玉山区)でランチ
 岩手大学からバスで岩手町の鞄血舎に向かいましたが、国道4号線を北上し、「石川啄木記念館」を右手に見てチョット行くと左に「姫神ホール」が有り、さらにチョットで右に「イオンスーパーセンター盛岡渋民店」があります。ここからチョット進んで右手に女性的な美しい姫神山、左手に男性的な岩手山があり、その間に挟まれて、国道4号線からも西に見える褐ヒ田久(本社:岩手県二戸郡一戸町一戸)の製麺工場があります。その敷地内にある直営店「久太屋」でランチとしました。ここはアルプス電気の跡地で、盛岡市玉山区芋田という住所です。ソバ、うどん、ひっつみ、夏は盛岡冷麺が揃い、天ぷら、小鉢、お新香、デザート、これでもか、これでもかと出てきて、お勘定が心配になるが、ご安心を、安いのです。しかも旨い。席から外がちょうど眼の高さのところだけガラスになっていて、田園風景が見渡せます。大変素敵なお店でした。なお戸田久の社長戸田敬さんは、澤藤隆一と同じ白堊43会です。

久太屋の案内板 久太屋の入り口 テーブル席から外を見る ひっつみ
「久太屋」は残念ながら2016年2月に閉店しました

 ■岩手町〜東光舎様訪問
 鞄血舎の工場では岩手町の瀬川副町長からご挨拶を頂きました。「民部田幾夫町長が、東京に行っているので代りにご挨拶する」と仰っていましたが、この日は小岩井乳業(布施孝之社長)と岩手町が組んで、東京・銀座の『いわて銀河プラザ』で、小岩井のヨーグルト、チーズと岩手町特産のキャベツ「いわて春みどり」を使った料理の試食会などを開催し、連携して首都圏の消費者にPRするイベントが始まった日でした。東光舎は
にわとりマーク、Joewellのブランドで、理美容鋏では世界に知られる高級ブランドです。創業者の井上さんが、井上をひっくり返して名付けたJoewell、洒落てますね(^_^) 井上研司常務と浜田 修部長に工場内を案内していただきました。驚いたことは、製造がすべて「手作り」だったこと、検査までも自動機は使っていません。こうして「匠の技」を伝承し、ノウハウが流出しないようにしていることに、こういうやり方もあるのだと感心しました。ティッシュを実際に切ってみましたが、その驚くべき切れ味に、これまた感動しました。

東光舎岩手工場で鋏の切れ味を体験 「蔵御膳らく丸」での岩手町産業人との交流会

 ■ミルクとワインとクリーンエネルギーの町くずまき訪問
 次に「北緯40度 ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」葛巻町に向かいました。これまで畜産大賞や日本農業賞、グリーンツーリズム大賞など数々の賞を受賞しているくずまき高原牧場では葛巻町の鈴木町長にご案内を頂きました。葛巻町のクリーンエネルギー施設は、太陽光発電や風力発電、畜糞バイオマスなどあらゆる再生可能エネルギーが揃っていますが、その中でゼロエネルギー住宅、間伐材をチップ化して原料とした木質バイオマスガス化コージェネレーション施設を見学しました。から松集成材で作った各種施設も見学しました。チーズハウスという製造施設を外から見ました。ミルクもワインも同じですが、工場は皆内部が見渡せます。ステンレスの衛生的な施設で、クリーン・ガーメント(清潔な作業着)を着用して働く人たちは、常に見られているわけです。葛巻町そのものが企業のようなもので、鈴木重男町長はさながら社長、産業人そのもの、大変熱心な案内で、説明には説得力がありました。くずまきの取り組みは、そのホームページにすべて紹介されていますのでご覧下さい。

 ■岩手町産業人との懇談(写真上)
 続いて再び岩手町に戻って来ました。先立って岩手町の産業人の集まりに招かれて講演した佐々木康夫監事が、その後の懇親会で、この方たちの活動に感動して、是非役員、事務局の皆さんも、その熱き心に触れて欲しい、との提案がありました。仕事を放り出して懇談の場を作って頂いた皆様に感謝しております。会場の「蔵御膳らく丸」の位置する周辺は、道路を広くし、電線を地中埋設した洒落た街でした。B級グルメ「
焼きうどんで町おこし」への取り組みを「肉の府金」の府金伸治専務が説明してくれました。岩手町ご当地グルメ研究会事務局長で、岩手町物産協議会会長です。来年度の「B1グランプリ優勝」を目指して取り組んでいるとのこと。平成20年に、環境保全型農業推進コンクールの大賞をゲット、農林水産大臣賞も獲得した「耕畜連携」の堆肥づくりで「春みどり」など、おいしい野菜生産を進めるいきいき農場三浦青果の三浦正美さん、モットーは「土を耕し 心を耕す」です。岩手町認定農業者協議会会長です。そして、銀座や横浜ランドマーク(豚肉創作料理やまと)でも食べられる「やまと豚」を大規模に展開している農事組合法人「南山形養豚組合」の佐藤 守副組合長理事からその取り組みを紹介頂きました。平成20年度には、年間4万4千頭出荷を達成されました。この糞尿がにおいの無い堆肥に変って行きます。先の農林水産大臣賞受賞の立役者でもあります。
 この後、所用で秋田に向う塩井さんを新幹線沼宮内駅で降ろし、バスは一路松川温泉へと向いました。八幡平市のバスの運転手さんは運転が上手い、見事なハンドルさばきでした。有難うございました。

 ■松川温泉
 地熱発電所が有り、豊富な湯量、湯花漂う乳白色の温泉、岩手山と八幡平の山懐に抱かれた松川温泉松川荘では、懇親会に八幡平市の田村市長のご臨席を賜り、親しく懇談させて頂きました。なんと、矢巾町出身の幹事である山崎重人さんは田村市長と高校同級生とのことで、再会にしばしの時を忘れ、議論も白熱しました。
 役員や事務局も、夜遅くまで、というよりも日付が変っても語り合い、役員・事務局各人の間で、お互いの親しみが増したことが今回の最大の成果でした。当日は大広間で、書の展示会も開かれておりました。
露天風呂 混浴と女性風呂あり わきを流れる松川渓谷のせせらぎの音を聞きながら、硫黄の匂いのする乳白色の湯に浸かると、何ともいえない癒しの気分がする。柵をめぐらしているので、入浴しながらでは、川が見えない。卵の館という温泉槽もあり、フロントで生卵を買って入れれば、温泉卵の出来上がり 内風呂 鄙の湯の入り口ロビー 脱衣所も広々としている。乳白色と透明の2つの浴槽がある。湯花が漂う単純硫化水素泉、弱酸性なので肌にも優しい

懇親会で挨拶する澤藤会長、左は八幡平市田村市長 左から2番目:松川荘おかみの平栗カヨ子さん

 ■7月3日(土) 2日目


2日目の朝、松川荘前で記念写真(用事あって早めに出立した方は含まれていません)

 ■松尾八幡平物産館あすぴーて訪問(八幡平市)
 この日は盛岡市のバスが宿前に迎えに来ていました。ナント!新車です。松川温泉を出て、途中八幡平市の誘致企業や公共施設を車窓からガイドされつつ、7月3日最初の訪問地:八幡平市観光物産館「あすぴーて」に着きました。ここでは、八幡平市産業振興鰍フ工藤慎也課長ほかの方が出迎えて、案内して下さいました。雄大な八幡平市の四季を大型スクリーンで見ました。直売や食べるところもあります。続いて鬼清水工場適地を車窓から見学しました。今はラグビー場になっています。

 
八幡平市観光物産館「あすぴーて」 岩手町のキャベツ畑

 ■道の駅石神の丘、自然を生かした雄大な美術館も有り(岩手町)
 岩手町は前日産業人との懇談で紹介して頂いたとおり、野菜の出荷量は岩手県内でもトップです。そのキャベツ「春みどり」の栽培現場を見ようというのでキャベツ畑に向いました。農家の方が畑からとって来たばかりのキャベツを、バス車内で食べたときの甘さは、皆様にも味わって欲しいと思いました。タバコの栽培畑もたくさんあり、あの大きな葉の緑がきれいでした。続いて岩手町佐々木さんの車の先導で岩手町工場適地を見学しました。岩手町の道の駅石神の丘は大規模で素敵な施設でした。併設される美術館、点在する石の彫刻を見ながら斜面を登り、ラベンダーの丘から新幹線沼宮内駅が眼下に見えました。
恋人の聖地というものもあります。おすすめの場所です。

ラベンダーが両側に咲く丘の上の小道、展望台からは東北新幹線沼宮内駅が見える。晴れるとその先に姫神山が見えるそうだ

 ■またもミルクとワインとクリーンエネルギーの町くずまき訪問
 葛巻町と久慈市の境にある平庭高原を訪れた東京下町生まれの友人が、新婚旅行でカナダに行った翌年、ここをドライブして、「日本にもカナダがあった」と言いました。日本最大規模と言われる30万本の白樺林とレンゲツツジの群生地で知られる美しい高原です。ここにも各種施設がありました。厳選された山ぶどうをふんだんに使ったワインやジュースを製造しているワイン工場は葛巻高原食品加工株式会社が運営しています。常務取締役の漆真下(うるしまっか)満さんが案内してくれました。くずまきの山ぶどうのワインはたくさん種類があり、どれが自分の口に合うか試飲できます。車の運転手は残念ながらムリですが、ぶどうジュースもおいしいですよ。ワインもジュースも何本も買い込んでしまいました
(^_^) 「森のこだま館」の中にある地産地消レストランでは、山の自然食材、その時期の旬な食材などを活かし、地元、県内産にこだわった安心、安全なメニューを提供しています。ランチはとてもおいしく、品数豊富な上に量も多く、デザートのチーズケーキは絶品でした。
 クリーンエネルギー施設の中で袖山高原の風車も見学しました。


くずまきワインの工場 ワインセラーにはモルト樽も 森のこだま館と限定ランチ

 ■道の駅にしね(八幡平市)〜盛岡北部工業団地、生出工場適地(盛岡市)→盛岡駅
 くずまきからまた道の駅石神の丘を通り、午前中に見た岩手町工場適地を通って、春みどりのキャベツ畑を通って、一路八幡平市へ・・・、せっかくだから、お休みだけど、田代貴実副会長の会社、八幡平市の平笠に工場がある「高津ダイス製作所」を見て行こうということになりました。東北自動車道西根ICの脇で、「道の駅にしね」から入って行き、車窓から見学しました。ここから南東にある、岩手山と姫神山に挟まれた生出地区は、盛岡市になりますが、地下水豊富で広大、平坦な工場適地です。南下して一本木の運転免許センター、自衛隊基地を通り、岩手県立大学、滝沢ICの間から、分れ南を経由して、厨川の東北農業研究センターを「広いな〜」と眺めながら、予定時刻通りに盛岡駅に着いて解散しました。

 ■まとめ
 行程の都合で、同じ場所を行き来することもあって、かなり走行距離が長かったのですが、ほとんど山林の中を走っている感じでした。豊かな自然、美しい風景に触れ、おいしい食べ物を頂きました。行程の中で岩手町の東北新幹線沼宮内(ぬまくない)駅周辺視察は、予定の前日に塩井さんを送って行ったことで2日目からは省略しましたが、高校時代、ここの駅弁の販売コールをして、みんなで大笑いしたことを思い出しました。当時は、列車が着いたときに、発車までの短い時間にホームで売り子が肩から前に箱をぶら下げて弁当とお茶を売り歩き、乗客は車窓を開けて買い求めたものですが、この駅で「ぬまくないべんとう〜〜〜」という売り子がいたかどうかは定かでありません。
 施設と企業と大学と観光と食を視察した旅でした。岩手町の蔵御膳らく丸では「焼きキムチうどん」を試食させて頂きました。岩手町のキャベツ「春みどり」を農家の方が畑からとって、その場で食べさせてくれたときの甘さには感動しました。道の駅石神の丘では、春みどりのロールキャベツカレーを試食しました。くずまきのミルクとヨーグルトとワインのおいしいこと、葛巻ワイン工場隣・平庭高原「森のこだま館」のランチは肉もおいしく、デザートは絶品でした。戸田久製麺工場併設「久太屋」のランチともども、品数からして、量からして、東京では有り得ない値段とおいしさでした。是非一度体験をお勧めします。
 今回お世話になった盛岡市、八幡平市、岩手町、葛巻町の事務局の皆様には、特に御礼申し上げます。
 マリオスを運営する叶キ岡地域交流センターの皆様、業務中に事務所を案内頂いたマリオス14Fのアイシン・コムクルーズ叶キ岡開発センターの皆様、岩手大学地域連携推進センターと盛岡市連携研究センター、盛岡市の関係者の皆様、鞄血舎の皆様、瀬川副町長ほか岩手町および産業人の皆様、鈴木町長ほか葛巻町の皆様、田村市長ほか八幡平市の皆様、あすぴーてを案内頂いた八幡平市産業振興鰍フ皆様、くずまきワインの皆様、松川荘の皆様に、厚く御礼申し上げます。


盛岡広域8市町村のホームページはこちらです
盛岡市八幡平市雫石町葛巻町岩手町滝沢村紫波町矢巾町

在京盛岡広域産業人会に入会していない人も、入会は随時受け付けています。
お申し込み・お問合せ先
 ○盛岡市 商工観光部 企業立地雇用課 鈴木健二、村井 淳(課長)
     〒020-8530 岩手県盛岡市内丸12-2
     TEL:019-651-4111(内線3714・3715) FAX:019-604-1717  E-mail
 ○盛岡市東京事務所 佐々木 祐、中川政則(所長)
     〒100-0014 東京都千代田区永田町1-4-1
     TEL:03-3595-7101   FAX: 03-3595-7102  E-mail

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